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空港・ホテルの無料Wi-Fiを使うときの注意 — 総務省のマニュアルで確認したい点
無料のWi-Fiは手軽に使える一方で、総務省のマニュアルは、対策をとらないと通信内容が盗み見られたり不正アクセスを受けたりするおそれがあると説明しています。
記事内の料金は 2026年10月8日 時点で各社の公表情報を確認したものです。 最新の料金・提供条件は各社の公式サイトをご確認ください。
目次
海外の空港に着いたとき、ホテルにチェックインしたとき、目に入るのが「Free Wi-Fi」の案内です。つなげば通信量を節約できますが、つなぐ前に確かめたいことがあります。
この記事では、総務省の「公衆Wi-Fi利用者向け 簡易マニュアル(令和7年2月版)」と、IPA(情報処理推進機構)の資料をもとに、公衆Wi-Fiを使うときの確認点を整理します。総務省のマニュアルには、海外の公衆Wi-Fiに特化した記述はありません。ここでは、海外の空港やホテルでつなぐ場面に当てはめて読める点を取り上げます。国ごとのWi-Fiの事情や、現地の法制度は扱いません。
そのうえで、公衆Wi-Fiに頼らずにすむ手段として、旅行用eSIMと海外WiFiルーターのレンタルの公式の案内を紹介します。通信料金は時期やキャンペーンで変わるため、金額は扱いません。最新の料金は各社の公式ページで確認してください。日本の回線の海外での設定は海外旅行で高額請求を防ぐスマホ設定で扱っているので、この記事では触れません。

公衆Wi-Fiの利点と、総務省が挙げるリスク
総務省のマニュアルは、外出先で誰もが使えるWi-Fiを公衆Wi-Fiと呼び、空港、駅、ホテル、学校、図書館といった、さまざまな場所で提供が増えているとしています。利点としては、設定が簡単で手軽につなげることに加えて、携帯電話回線の通信料金(パケット通信量)を削減できることが挙げられています。
一方で、適切なセキュリティ対策をとらずにいると、気づかない間に通信内容が盗み見られたり不正アクセスを受けたりするおそれがあるとも書かれています。マニュアルが載せている被害の例は、旅行中の人が、暗号化キーなしで接続できたことを理由に見慣れないSSID(ネットワーク名)の公衆Wi-Fiを使い、SNSのIDとパスワードを入力して盗まれたというものです。原因として挙げられているのは、悪意をもって設置された偽の公衆Wi-Fiに接続してしまったことでした。
マニュアルは対策の中心を三つのポイントにまとめています。接続するアクセスポイントをよく確認すること、正しいURLでHTTPS通信をしているか確認すること、パソコンの共有設定に注意することです。以下は、この三つに沿って見ていきます。
つなぐ前に、接続先を確認する
- 提供者を確認する — マニュアルは、近くに掲示されているステッカーなどで、誰が提供しているどのようなサービスなのか、セキュリティ対策はどうなっているのかなどを確認してから接続するよう案内しています。暗号化キーなしで接続できる公衆Wi-Fiがあっても、提供者が不明のものや不審だと感じるものには接続しないようにしましょう、としています。
- 名前(SSID)を確認する — 接続しようとする公衆Wi-FiのSSIDが、提供者の案内しているものと同じか確認するよう案内しています。よく知っているSSIDであっても、偽の公衆Wi-Fiが設置されていることがあるとして、不審な点がないか確かめる習慣をつけるよう呼びかけています。
- 自動接続を切っておく — スマートフォンによっては無線LANへの自動接続機能があり、意図せず不審な公衆Wi-Fiへ接続してしまう可能性があります。マニュアルは、自宅や職場のWi-Fiなど日常的に利用するSSID以外は、自動接続する設定を無効にするよう案内しています。
- 迷ったら使わない — 少しでも不審な点があれば、利用を控える判断も必要だとしています。
IPAの資料も、外出先で端末のアクセスポイントの一覧を表示すると、複数のSSIDが表示されることが多いと書いています。掲示や案内で示された名前と見比べてから選びます。
ID・パスワードの入力画面が出たとき
公衆Wi-Fiにつなぐと、IDやパスワード、メールアドレスなどを入力する画面が出ることがあります。偽の公衆Wi-Fiが、SNSのログイン画面を模した偽の入力画面へ誘導する例が報告されているとして、マニュアルは次の点を確認するよう案内しています。
- URLが「https://」で始まっているか、またはブラウザに鍵マークが表示されているか。
- URLが正しいか。HTTPS通信をしていても、本物のURLに巧妙に似せた偽のURLの場合があるため、URL全体を確認するよう案内しています。
- 「接続が安全ではありません」などのエラーが出ていないか。出ている場合は、正しいサイトではない可能性が高いとされています。再読み込みやWi-Fiのオン・オフでも同じ状況なら、その公衆Wi-Fiを利用しない判断も必要だとしています。
あわせて、ID・パスワードの使い回しをすると、だまし取られたときに被害が拡大するとして、使い回しを避けること、二要素認証が設定できる場合は積極的に使うことを案内しています。

暗号化方式の見方 — 表示が出る場合に
マニュアルは、公衆Wi-Fiのセキュリティ方式について、一般に「WPA3」または「WPA2」が望ましいとされると説明しています。端末の画面でSSIDと暗号の利用状況を確かめる方法も、図で載っています。
- 「セキュリティ(暗号化)なし」や「WEP」と表示されている場合は、周囲に見られてはいけない情報を扱う利用は避け、通信内容が周囲に見られても構わない場合に限って使うよう案内しています。
- 「WPA2パーソナル(WPA2-PSK)」は、接続する人全員が同じ暗号化キーを共有する方式です。不特定多数が使う公衆Wi-Fiでは、利用者全員が暗号化キーを知っている状態になります。マニュアルは、この方式の公衆Wi-Fiは、暗号化されていない場合と同様に留意して利用する必要があるとしています。
ホテルなどで、暗号化キー(パスワード)が利用者に案内される形のWi-Fiも、同じ見方で確かめます。パスワードの入力が必要だからといって、通信内容が守られるとは限りません。
マニュアルは、安全性が高い方式として、携帯電話事業者が提供する公衆Wi-FiのSIM認証や、企業向けのWPA2エンタープライズなどを挙げています。ただし、いずれもWi-Fiの無線区間のみの暗号化方式であることに留意するよう書かれています。
Wi-Fiの暗号化が守る範囲と、ブラウザ以外の通信
マニュアルは、Wi-Fiの暗号化も重要だが、守られるのは無線区間だけで、Wi-Fiルーターから先は守られないと説明しています。HTTPS通信であれば、アクセス先のサーバまですべて暗号化されるので、Wi-Fiが暗号化されていない場合でも、悪意をもった第三者から通信内容を保護できるとしています。Wi-Fiは電波を利用している以上、周囲の第三者が容易に受信できる状況となるためリスクが高く、HTTPS通信は必須と考えましょう、と書かれています。
- メールソフトなど — パソコンなどでメールの送受信やファイル転送を使う場合は、暗号化のための設定変更を行うよう案内しています。よく分からない場合は、外出先ではブラウザからWebメールを使うなど、利用をブラウザのみに限る方法も示されています。
- スマートフォンのアプリ — ブラウザ以外のアプリの通信がHTTPS通信かどうかを利用者が判断することは困難だと認めたうえで、心配な場合は、外出先のWi-Fiではブラウザの利用だけにとどめることも一つの方法だとしています。
- パソコンの共有設定 — 不特定多数が接続する公衆Wi-Fiでは、端末どうしの通信が問題になりかねないとして、パソコンを接続して使うときは、共有フォルダの無効化や認証機能の有効化などの対策を行うよう案内しています。
IPAの資料が挙げる「悪意のAP」と、対策の考え方
IPAは2016年3月公開の技術資料「公衆無線LAN利用に係る脅威と対策」で、悪意のAP(アクセスポイント)を、通信内容を盗み取るなどの目的で設置された、実在する正規のAPと同じSSID・暗号化キーを設定したAPと説明しています。過去に接続した正規のAPの情報が端末に保存されていると、悪意のAPを認識したときに自動的に接続してしまう、とも書かれています。総務省のマニュアルが自動接続の無効化を案内している理由と重なります。
対策の考え方として、IPAは、第三者に知られては困る情報は入力および表示しないことを挙げています。外出先で重要な情報の入力が必要になった場合は、携帯電話回線を利用するなど、必要な通信の内容に応じて公衆無線LANを使うかどうかを判断することが重要としています。同じ資料は、対策の一つとしてVPN通信の利用を推奨し、悪意のAPに接続してしまった場合の盗聴にも有効になるとしています。VPNの種類や提供元の比べ方は、この記事では扱いません。資料の公開から時間がたっているため、現在の状況は総務省の最新のマニュアルとあわせて読んでください。
公衆Wi-Fiに頼らない選択肢
IPAの資料のとおり、公衆Wi-Fiではなく携帯電話回線を使う方法があります。海外では、次の三つが基本です。
- 日本の携帯電話会社の国際ローミング(設定と料金は契約によって異なります)
- 旅行用のeSIM
- 海外WiFiルーターのレンタル
三方式の違いは海外旅行のデータ通信 完全ガイドで整理しています。ここでは、公式サイトで仕様を確認できた五つの商品について、つなぎ方に関する記述を並べます。公衆Wi-Fiを使わなければ安全になる、という趣旨ではありません。総務省のマニュアルは、HTTPS通信の確認はWi-Fiを使わない場合も含めた、インターネット利用時の一般的な注意事項だと書いています。
トリファ(eSIM)
購入からインストール、データ残量の確認、チャージまでアプリ1つで完結する旅行用eSIMで、物理SIMは不要、世界200ヶ国以上に対応していると案内されています。アプリ内のチャットでは、日本人スタッフが24時間365日、日本語で対応するとされています。トリファのフィリピン向けの案内には、現地キャリアの回線に直接接続するとの記述があります。
Glocal eSIM(eSIM)
データ通信のみの回線で、電話番号の付与はありません。LINEなどのデータ通話は利用できると案内されています。容量を超えた場合は、追加購入ができず新規で購入する仕組みです。eSIMの開通有効期限は、注文日から90日とされています。IPアドレスが日本国外のものになるため、決済サービスをはじめ日本限定の動画配信サービスなどが利用できない場合があるとも注記されています。
グローバルWiFi(WiFiルーター)
通信サービスは、現地通信会社の回線を使用していると案内されています。フィリピン向けのページでは、ルーターは日本国内の空港カウンター、宅配、コンビニで受け取るよう案内されています。
ZEUS WiFi for GLOBAL(WiFiルーター)
Wi-Fi端末の電源を入れ、スマートフォンなどの端末をWi-Fiに接続し、パスワードを入力して使う方法が案内されています。同時には最大10台まで接続できますが、5台までを推奨しています。
WiFiBOX(WiFiルーター)
本体の電源を入れ、SSIDとパスワードを使用して接続すると案内されています。同時に接続できる台数は5台までです。
WiFiルーターは、スマートフォンとの間もWi-Fiでつなぎます。つなぐ前に、本体に記載されたSSIDと見比べるなど、この記事で見てきた確認を同じように行います。レンタル端末の設定やセキュリティ方式は、各社の案内で確認してください。受け取りと返却の手間は空港WiFiレンタル vs eSIMで比べています。

場面ごとの考え方
- 地図や天気を見るだけ — 見られても影響の少ない情報のやりとりに限る、というのがIPAの考え方です。公衆Wi-Fiを使う場合も、ログイン画面の入力は避けます。
- ログインや決済が必要 — IPAは、重要な情報の入力が必要になったら携帯電話回線を利用するなど、通信の内容に応じて使い分けるよう案内しています。
- パソコンを持っていく — 共有フォルダの無効化など、マニュアルの共有設定の対策を出発前に確認します。
- つなぐか迷う — 提供者が確認できない、SSIDが案内と違う、エラーが出る、のいずれかなら利用を控えます。
- 旅行用のeSIMやルーターがつながらない — 公衆Wi-Fiに切り替える前に、海外でeSIMがつながらないときの確認ポイントの順で設定を確かめます。
つなぐ前のチェックリスト
- 掲示や案内で、提供者とSSIDを確認した
- 日常的に使うSSID以外の自動接続を無効にした
- ID・パスワードの入力画面で、URL全体と「https://」を確認した
- セキュリティ方式の表示が「なし」や「WEP」ではないか確かめた
- メールやアプリの通信が心配なときは、ブラウザだけの利用にとどめることにした
- 重要な情報を入力する場面は、携帯電話回線に切り替えることにした
- パソコンを使うなら、共有フォルダを無効にした
まとめ
- 総務省のマニュアルは、公衆Wi-Fiの対策を三つのポイントにまとめています。接続するアクセスポイントの確認、正しいURLでのHTTPS通信の確認、パソコンの共有設定です。
- パスワードが案内されるWi-Fiでも、全員が同じ暗号化キーを共有する方式なら、暗号化されていない場合と同様に留意するよう案内されています。
- Wi-Fiの暗号化が守るのは無線区間だけで、HTTPS通信の確認も欠かせないとされています。
- IPAは、重要な情報の入力が必要なときは携帯電話回線を利用するなど、通信の内容に応じて使い分けるよう案内しています。
- 公衆Wi-Fiに頼らない手段として、旅行用eSIMと海外WiFiルーターのレンタルがあります。仕様と使い方は、申し込む前に公式サイトで確認してください。